「離婚」の先にあるもの(3)お義母さん、ごめんなさい

10年近く寄り添った元夫との離婚を決めた友に、問題が立ちはだかって・・・。
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■お義母さん、ごめんなさい
かくして、元夫に離婚を切り出した友。
「別れたくないけど、あなたが望むなら書くよ」と答えたという元夫。目の前では書かないからと、その日、友と私は一緒に飲みに行き、「書いてあるかなー」「どうだろうねー」と話しながら、帰りの駅までの道を歩いた。
周囲の人は「たぶん書いてないよ」「そんな簡単に離婚なんてできないよ」なんて彼女に言っていた。
それに対して友は、「私は、書いてくれてると信じてるの!」と力強く言った。
彼女がそう言うなら、そうなのだろうと思った。これから夫婦関係を解消しようとしているふたりであっても、それが人生のある時間を、ともに生きたふたりにしか分からない機微であり、絆なのだろうと思った。

それから30分後、珍しく寄り道をせずに帰宅した友からメッセージが届いた。
「書いてあった」
その一文を見た瞬間、私の涙腺が決壊。
あぁ、そうか、書いてくれたんだな、と。部屋でひとりで、元夫はどんな気持ちで離婚届を書いたのかな、とその姿を想像したら切なくなった。
「書いてくれてよかったね」
「義理のお母さんの遺影がうちにあるんだけど。お母さんごめんなさい。お母さんやさしかった」
「うん。きっとわかってくれる」
「甥っ子、すくすく育て」
「うん」
「みんなごめん。がまんできなかった。ふつうに仲良くやっていく道もあったかも。でも、無理だった。力およばず」
「うん」

後日、私は友の離婚届に保証人として署名し、判を押した。婚姻届も書いたことのない私にとって、それはもちろん、人生で初めての経験だった。友のこれからを思い、判を押す手が震えた。

書いた後、友とふたりで、顔を見合わせて少し泣いた。それから一緒に、ワインを飲みながらお肉を食べた。

繰り返しになるけれど、離婚はひとりですることはできない。子どもであったり親であったり、周囲の人を傷つけてしまう可能性もある。それはもしかしたら、自分が傷つくことよりもつらいことかもしれない。
だから、決心が鈍り一歩を踏み出せないこともある。
それでも、その痛みを敢えて選び、決断したのであれば、その先にあるものは、幸せであってほしいと願うばかりだ。

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