小林麻央さんの乳がん報道が注目を集めていますが、今は12人に1人が乳がんになるともいわれています。
乳がんは女性なら誰でもなる可能性のある、身近な病気です。
2013年、私にも「乳がんの疑い」がありました。
これは、そんな私が経験した54日間の記録です。
■それは突然やってきた
カフェでの一人仕事を終えて、ふらりと家に帰って来た、昨年末の12月26日。
郵便受けを開けると、A4サイズのピンクの封筒が入っていた。
1ヵ月前に初めて受けたマンモグラフィーの結果だった。検診結果というのは、だいたい検診を受けたことを忘れた頃にやってくる。
何気なく封を開けた私に、まず、目に入ってきたのが、「D2=要精密検査」という文字。
そして、「右MO淡く不明瞭集簇性石灰化」という何やら見慣れない言葉。
突然、目の前が真っ暗になり、心臓が高鳴った。
「γ-GTPが高いですよ」とか、「血圧の下が高めですね」とか、今までの健康診断で言われてきたものとはまるでレベルが違った。
だって、マンモグラフィーとは、「乳がん」の検査なのである。
それで「要精密検査」ということは、「乳がん」かもしれないのだ。
決して大げさではなく、目の前に「死」が近づいてきて、この手でつかめそうな気がした。
「いやだいやだ」と泣きそうになりながら、コートも脱がず、衝動的に携帯を取り出して、書かれてあった、病院の電話番号をプッシュした。
「あの、せ、精密検査の結果を受け取ったのですが」
声が震える。
電話先の男性が「あぁ、そうですか。そこに書いてある通り、専門の病院で検査を受けられてください」と言う。「せ、専門、ですか?」「はい、乳腺外科です」。
このときまで、「乳腺外科」という専門科があることすら、私は知らなかった。
慌ててパソコンを立ち上げて、「乳腺外科 東京」で検索。
一番上に出た病院が家からわりと近かったので電話をすると、「いま、大変混んでおりまして、次の検査のご予約は、2月になります」と言う。
他の病院も同じなのかなと、どんよりした気分で、ネットの2番目に出てきた病院に電話をしてみると、1月10日に受診できると言う。それでも2週間ほど空いてしまうが、年末年始を挟むので仕方ない、と諦めて予約した。
いつになく落ち着かない年末年始となってしまった。
※この記事は、乳がん検査を受けたことにより不安や葛藤を自身で体験したライターの体験記であり、
乳がんをなかなか身近に感じることのない、またはライターと同じような不安を経験している方への啓蒙の一助となることを目的として掲載しています。