世界でも有名な「美食の街」とも言われているのが、スペインのサンセバスティアンです。サンセバスティアンは、スペインの北部に位置する人口18万人の小さな都市です。この人口が少ない小さな街が、世界から「美食の街」として知られているのです。その理由の一つが、ミシュランの星の数です。(人口18万人/2018年統計局発表)
世界でも食が美味しいと有名な国が「スペイン」です。スペインは暖かい気候に恵まれている国です。首都のマドリードや地中海気候のバルセロナをはじめ、ヨーロッパ圏の人たちからも人気の観光スポットとなっています。
私は世界各国を旅しながら、日本人が移住しやすい都市をブログやSNSで発信することを仕事としています。以前からヨーロッパへ移住したいと考えており、EU周辺の魅力的な街を散策した折に見つけたのが「美食の街サンセバスティアン」の情報です。食が美味しいと評判のスペインの中でも、有名なサンスバスティアンがどれほどすごいのか、実際に行って確かめたくなったのです。
そんなサンセバスティアンは、三つ星レストランが3店舗もある珍しい街です。人口に対する三つ星レストランの数は、世界でも多い場所の一つと言われています。最近、日本でも流行った「バスクチーズケーキ」発祥の地でもあります。
かたや、福岡も「ご飯が美味しい」ことで有名です。2019年の7月に発売された「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎 2019 特別版」では、福岡のお店が287店舗掲載され、そのうち2つのお店が三つ星を獲得しました。「三つ星レストランが2店舗も誕生=食が美味しい街」として認知されていると考えると、とても嬉しいですね。
「豚骨ラーメン」や「もつ鍋」「水炊き」といったメニューは福岡の定番料理です。他にも「屋台」の文化も福岡らしさがあります。西中洲と呼ばれる高級レストランが軒を連ねるエリアでは、ミシュランの星を獲得したお店に出合うこともできます。
サンセバスティアンと福岡、2つの街に共通するのがミシュランに認められている「美食」です。世界でも有名な美食の街としてのサンセバスティアンと、日本でも有名な食の街としての福岡は、美味しい食で通じるところがあります。
サンセバスティアンには「バル」と呼ばれる立ち飲み屋が豊富にあります。バルは、日本でいう居酒屋に似た雰囲気でお酒が飲める場所です。このバルで名物になっているのが「ピンチョス」とよばれる、手でつまめる一口サイズのおつまみがのった小皿料理です。これがかなりの絶品で、盛り付けも色合いも綺麗です。
サンセバスティアンでは、旧市街地の路地に数十店舗以上のバルが軒を連ねています。面白いのが、バルによって「ピンチョス」の種類や味が違うことです。日本でも居酒屋によって「つまみ」の盛り付け方や美味しさが違うように、バルで出されるピンチョスは、店舗によってバラエティに富んでいます。
ウニのクリームあえや、シシトウと生ハムを挟んだ料理など、お店独自のピンチョスがお酒をすすめてくれます。昼間から梯子することもできるサンセバスティアンのバルは、美食の街の象徴のような存在です。
ところで、福岡でも「角打ち(かくうち)」と呼ばれる立ち飲み酒屋が有名です。角打ちは、酒屋で買った酒をそのまま店内で立ち飲みするスタイルです。この角打ちの「交流場」は、バルにも共通するところです。
角打ちは、酒を升に入れ、そのまま飲むこと、酒屋の一角で飲むことなどがはじまりとされています。いまでは「酒屋で立ち飲むこと」を角打ちと表現することが多いようです。
また、角打ちで出される「つまみ」も魅力的です。個人的におすすめなのが、福岡のちょっとした居酒屋の小料理です。
例えば、居酒屋で注文する「ごまさば」。サバに醤油ベースの特製タレとゴマがかかった小皿料理です。小洒落た居酒屋へいくと、盛り付けも綺麗で味も美味しい「ごまさば」に出合えます。まさに美食を感じられるのが福岡の魅力の一つです。
今回は、2つの美食の街を「ミシュランの三つ星店の数」と「気軽に立ち寄れる酒場でのクオリティ&バラエティ」で比較しながら、共通する「食」について紹介してみました。スペインと日本という遠い地でありながら、サンセバスティアンと福岡には共通する「美味しい食」があると言えます。
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私も、サンセバスティアン以外の街と福岡の魅力の共通点などを今後も深掘りしていきたいと思います。
文=アブローダー