店内に入ってびっくり。スポットライトの当たる立派な舞台があり、まるでライブハウスのようです。実は、マイラスさんの本業は料理人ではなく、プロの馬頭琴(ばとうきん)奏者。8歳から馬頭琴を始め、さらに演奏に磨きをかけるため中国・内モンゴル自治区の芸術学校で馬頭琴を学んだそうです。
「馬頭琴の演奏はいつでもリクエストを」とオーナーのマイラスさん
「馬頭琴は2千年以上の歴史があるといわれる素晴らしい楽器ですが、世界的にはまだまだ知られていません。そこで、自分でも馬頭琴を日本に広めたいと思い、北九州市の大学に留学。その後、福岡市に移住して来日11年目です」とマイラスさん。
「演奏会やイベントなど演奏家として活動していましたが、食を通じてもっと馬頭琴の地名度広げたいと、レストランのオープンを決めました」と流ちょうな日本語で話してくれます。
「実は、日本の小学校では馬頭琴が描かれた物語『スーホの白い馬』を授業で習うので、楽器の存在自体はかなり知られている、ということを来日して初めて知ったんですよ」と笑います。
店の看板メニューは、モンゴルで普通に食べられている火鍋。健康にいい素材や香辛料をたくさん使う薬膳鍋です。スープは4種類あり、辛さが選べる「麻辣スープ」、「鶏ガラスープ」、「きのこスープ」、「トマトスープ」から好みで2種類を選べます。
2種類はどれにする? 写真はさっぱりきのこスープとクセになる麻辣スープ
「メインの肉は羊肉。故郷では、牛よりも羊のほうが高級で、よく食べられています」とマイラスさん。極薄にカットされた羊肉は、しゃぶしゃぶして食べるだけではなく、野菜と一緒にぐつぐつ煮込んでも固くならず、うまみたっぷりに楽しめます。
美容と健康に良いと羊肉は若い女性にも注目されている食材です
羊肉はビタミンが豊富で低カロリー。脂肪を燃焼させるL-カルニチンが含まれていることで知られ、ダイエットが気になる人や筋トレマニアが好んで食べるヘルシーなお肉として、近頃特に人気が高まっているそうです。
「Cセット」には羊肉、牛ロース肉、イカ団子、スパム、豆腐、きのこ盛り、野菜盛り、大根、シメの麺などがあり、ボリューム満点です。
ヘルシーな薬膳鍋 ※写真は3人前
火鍋のもう一つの楽しみは自分で調合するタレ。
店の中央に薬味台があり、特製の牛肉みそやニラみそ、辛子(からし)みそや練りごま、モンゴル塩、ナッツやポン酢、パクチーなど自分で自由に合わせてオリジナルのタレを作ります。
日本人の味覚としてポン酢はマスト。あとはお好きな薬味を混ぜてみて
マイラスさんがおすすめのタレを作ってくれることもあります。「現地では夏でも火鍋は普通に食べられています。これから暖かくなりますが、夏でもクーラーの効いた店内で楽しんでください」とマイラスさん。
食事中にマイラスさんの演奏が始まり、さながら店内はゲル(遊牧民が暮らすテント)の中のようなアットホームな雰囲気に。
HAMATAとはモンゴル語で「共に、一緒に」という意味とか。優雅な馬頭琴の音色を聞きながら、仲間と鍋を囲むのもよさそうです。
「草原のチェロ」と称される馬頭琴のつややかな音色
「これからは一品料理のレパートリーも増やしてきたいと考えています」とマイラスさん。今後の新メニューも楽しみですね。
「終わらない幸せ」を祈り、ゲルや家具などに描かれるモンゴル独自の一筆書き文様「ウルジーへー」が店のいたるところにデザインされています
HAMATAモンゴル薬膳火鍋
住所:福岡市中央区清川2-21-22
電話:092-401-1618
営業:18:00~23:00(L.O.22:00)
不定休